夜の静寂(しじま)のブルースは5杯目のウィスキー
あなたに酔って、恋に酔う。

あなたが聞きたいという嘘と戯れ、今夜からつづり方教室。。。
空から星が降るような夜露を受ける宵待ち草のように。

そして季節は秋です、恋に落ちている貴女へ

 その人は最後のわがまますら受け容れた。別れじゃない終りがおんなには大切な癒しのピリオド。

 交差点の信号が黄色に変わった。いつもなら突っ切ってしまう交差点で夕焼けの美しさに停車した。夕焼けの短いはげしい空に燃える紅さが女の季節に似ていると思った。帰りの交差点で暮れた蒼さも似ていた

 読まれない手紙は寂しい人が書くとは限らない。書かずにいられない想いが溢れてしまう、そんな夜にしたためる手紙がある。なぜか想いは通じている。そう、ぬくもりがあなたとわたしの掌にある。

 くちづけを重ねた。何度もなんども交わしたくちづけが思い出せないほど恋しい夜もある。うなじにかかる吐息だけがよみがえる。

 月の綺麗な夜だった。銀に輝く冷たい月のように心も冷たくなれたら。毅然とあなたを裏切ってみたい。

 飛べない雀がうわさする。咲けない花がそのまま枯れる。そんなおんなはまっぴらごめん。女廃業する前に今夜あなたをむさぼり尽くす、そんなひと夜が訪れる。

 指で確かめた。やっぱり落としていたイヤリングの片方。使えなくなったイヤリングの数だけ追いつめられていた夜。

 あなたとわたしにふさわしいことば。それはさようなら。咲いた花は散るのは神様の決めごと。おとなの御伽噺も終わりがきます。終わりのしるしは夜露とおなじ涙です。

 悲しみは彼の胸の中に流しきってきたから、悲しみはもうない。跡形もない。虚しさだけが埋め尽くしているはずなのに、面影はゆっくり擦り代わりはじめる。ほんとうに棄てたのは誰?

 夏に交わしたことばは短編小説に似ていた。書き継がれる言葉は白紙のまま二人の心の中だけで読み継がれていくロングロングセラー。
あなたが云っていたわたしたちの「ロングバケーション」のはじまり。

 季節の移り変わり、月の満ち欠けと歩みを並べて心の容も変わっていく。染み入る曲が変わるようにメールを待つアドレスも。

 ゆれて揺れてそしてまた揺れる。揺れて…指先がつかんでいる細いたよりなげな糸はあなたにだけ繋がっていることに気づいている。

 貴方の腕の中は危険ゾーン。その強い腕の力に絡めとられる幸せと不幸を味わっている。

 貴方はいつも近くて遠い人だった。ゆっくり想いのマグマは冷めてゆき、貴方の想い出は化石になっていく。あの人は心の中から去ることがなく。その席へ戻るの。

 あまりに座りごこちのいいクッションを貴方が用意するから、ついクッションを邪険にして。貴方と貴方を行きつ戻りつ。だから やめられない。甘ったれのずるい女。


 あんなに飛んでも怖くなかったはずなのに。あんなに待ち焦がれていたはずなのに。怖いと思うとすくんでしまう恋もある。泣かずに終えなきゃいけない幕切れ。